79回目「広島原爆の日」 核廃絶、平和創出の力に
79回目「広島原爆の日」核廃絶、平和創出の力に
公明、「党ビジョン」策定へ/広島で山口代表が表明
公明党の山口那津男代表は6日午前、原爆投下から79年を迎えた広島市で記者会見し、戦後80年の節目となる来年に向け党として「今の時代に求められる平和創出ビジョンを策定し、平和創出の取り組みを積極的に展開したい。対話と協調により、分断と対立を乗り越える日本の役割を推し進める原動力になりたい」と表明した。山口代表の発言は大要、次の通り。
■国際社会の安定に役割果たす
【平和創出ビジョン】
一、来年は被爆80年の節目を迎える。国際社会の厳しい現実と向き合いながら、唯一の被爆国である日本が「核兵器のない世界」に向け、どういうモーメント(きっかけ)をつくり出していけるかが問われる。また、戦後80年、国連創設80年であり、国際社会の平和と安定のために日本の果たす役割が改めて問われる年になる。
一、公明党は結党以来、平和の党として行動する平和主義を貫き、人間の安全保障に基づく平和外交に取り組んできた。そこで、これまで取り組んできた①核廃絶②気候変動③国連の持続可能な開発目標(SDGs)④人工知能(AI)⑤教育・若者・女性ほか――の五つを柱に、2025年からの10年を展望し、来年の春をめどに平和創出ビジョンを策定したい。
一、党のネットワークの力を生かし、広島県本部や長崎県本部、沖縄県本部などと連携し、地方自治体による平和への取り組みも推進したい。また、青年委員会が7月から始めた「ユースディスカッション」運動とも連動させ、若い世代を含む幅広い有識者と共にビジョンを策定し、公明党の平和外交を広く伝える契機としていきたい。
【核兵器禁止条約】
一、政府はこれまでの安全保障政策の中で、核兵器不拡散条約(NPT)を重視しながら、現実的な核軍縮を一歩一歩進めようとしている。核禁条約をゴールと位置付け、核兵器の保有国と非保有国の橋渡しをしようと取り組んでいる。
一、公明党は一歩進んで、この核禁条約は日本の「非核三原則」を国際規範に高めたものだと捉えている。唯一の被爆国である日本が橋渡し役を担うのであれば、非保有国が結集している核禁条約に関わる一方、核保有国との対話も進めて軍縮を進めていくべきだ。
一、ただちに日本が核禁条約に参加できなくても、オブザーバーとしてウオッチし、対話しながら、実質的な橋渡しの役割を果たしていくことは十分成り立ち得る。これからも粘り強く、橋渡しの推進力として公明党の役割を果たしたい。
■平和記念式典、5万人参列
広島は6日、79回目の原爆の日を迎えた。広島市中区の平和記念公園では、市主催の平和記念式典が開かれ、被爆者や遺族、岸田文雄首相ら約5万人が参列。松井一実市長は平和宣言で、「国際問題を解決するために武力に頼らざるを得ないという考えが強まっていないか」と危機感を表明。東西冷戦の終結を例に、「為政者が断固とした決意で対話すれば、危機的状況は打破できる」として、核抑止力に依存する政策からの転換を訴えた。
式典には、109カ国と欧州連合(EU)の代表が出席。斉藤鉄夫国土交通相(公明党)ら政府関係者のほか、公明党からは山口那津男代表をはじめ、谷合正明参院幹事長、山本博司参院議員、日下正喜、平林晃の両衆院議員、栗原俊二、尾熊良一、石津正啓、岡部千鶴、井上謙一郎、相沢孝の各広島県議、西田浩、碓氷芳雄、石田祥子、川村真治、並川雄一、田中勝、川本和弘、幸城麗子の各広島市議が出席した。
原爆投下時刻の午前8時15分、「平和の鐘」に合わせて1分間の黙とうをささげた。
松井市長は宣言で、若者をはじめとする市民社会による交流の重要性に言及。「『平和文化』を共有できる世界を創っていこう」と呼び掛けた。
日本政府には、核兵器禁止条約への署名、批准を改めて要請。高齢化する被爆者への支援充実も求めた。
岸田首相はあいさつで、核兵器のない世界の実現に向けて努力することは「唯一の戦争被爆国であるわが国の使命だ」と強調。その上で、「核軍縮に向けた機運を高めるべく、国際社会を主導していく」と述べた。
2024/08/07 公明新聞 1面